S&P500・NASDAQ100・FANG+・レバナス(2x)・TQQQ(3x)
定量比較レポート
分散度や「レバレッジ=ハイリスク」といった通説の再確認ではなく、日次データから実測した数字だけで判断材料を作る。全指標はCSVとして併存(data/metrics/ data/backtest/)。
②基本指標
③非定型リスク指標
④相場レジーム別
⑤積立戦略バックテスト
⑥結論(初回)
⑦金利ゲート戦略
⑧追加検証(多角的切り口)
⑨矛盾の整理と優先順位
⑩最終結論:20年積立への示唆
⑫損切りルールの検証
⑬残投資可能年数とグライドパス
⑪限界
① データ・手法
yfinanceで取得した日次終値ベース。実データが存在しない期間・銘柄は以下のとおり合成して補った。
- S&P500 = SPY(1993-)、NASDAQ100 = QQQ(1999-)。長期検証には ^GSPC(1990-)・^NDX(1990-) も使用。
- FANG+ = 公式指数ではなく、META/AAPL/AMZN/NFLX/GOOGL/MSFT/NVDA/TSLAの8銘柄を四半期リバランス・等加重で合成した近似指数(2012-05-18〜、TSLA上場が制約)。実際のFANG+指数(NYSE FANG+)とは構成銘柄・組み入れタイミングが異なる点に注意。
- レバナス相当 = 2006-06以降は実在のQLD(ProShares Ultra QQQ, 2倍)、それ以前(1990〜2006)はNDXリターン×2から資金調達コスト(3ヶ月T-Bill+0.4%)と信託報酬(年0.95%)を差し引いた合成系列。接続点で連続性を保つようスケーリング。QLD重複期間での日次リターン相関係数は0.9958で検証済み。日本の実在レバナスファンド(iFreeレバレッジNASDAQ100等)とは信託報酬・スワップコストがわずかに異なるが、値動きの近似として妥当。
- TQQQ = 2010-02以降は実データ、それ以前は同様の手法で3倍合成(TQQQ重複期間相関係数 0.9986)。
- VIX・VIX3M・13週T-Bill金利(^IRX)も同期間取得。
FANG+合成指数は現在の構成銘柄を過去に遡って適用しているため生存者バイアスがある(2012年時点でAAPL/MSFTは既に大型株だったが、当時FANG+的な位置づけではなかった)。厳密な指数値ではなく「等加重メガテック8銘柄」の近似として読むこと。
② 基本指標(2012-05-18〜2026-07-17、5銘柄が揃う共通期間)
| 銘柄 | CAGR | 年率Vol | Sharpe | Sortino | 最大DD | Ulcer Index | Martin | Calmar | 月次歪度 | Tail比(95/5) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| S&P500 | 15.2% | 16.7% | 0.83 | 1.02 | -33.7% | 0.062 | 2.43 | 0.45 | -0.40 | 1.18 |
| NASDAQ100 | 19.9% | 20.7% | 0.90 | 1.15 | -35.1% | 0.090 | 2.21 | 0.57 | -0.15 | 1.35 |
| FANG+(合成) | 38.6% | 26.8% | 1.29 | 1.72 | -48.7% | 0.121 | 3.18 | 0.79 | -0.07 | 1.56 |
| レバナス相当(2x) | 33.4% | 41.3% | 0.87 | 1.11 | -63.7% | 0.189 | 1.77 | 0.52 | -0.07 | 1.25 |
| TQQQ(3x) | 43.1% | 61.3% | 0.87 | 1.11 | -81.7% | 0.283 | 1.52 | 0.53 | 0.00 | 1.29 |
一括投資成長倍率(対数軸、2012-05〜)
③ 非定型リスク指標:通説では見えない部分
③-1 積立(DCA)口座のUlcer Index — 「価格のボラティリティ」と「積立投資家が実際に感じる痛み」は別物
| 銘柄 | 期間 | Price Ulcer | DCA口座 Ulcer | 低減率 | DCA XIRR | DCA Martin |
|---|---|---|---|---|---|---|
| S&P500 | 1993-2026 | 0.145 | 0.103 | 71% | 10.8% | 1.04 |
| NASDAQ100 | 1999-2026 | 0.435 | 0.108 | 25% | 15.0% | 1.39 |
| FANG+(合成) | 2012-2026 | 0.121 | 0.105 | 86% | 36.1% | 3.45 |
| レバナス相当(2x) | 1990-2026 | 0.669 | 0.614 | 92% | 18.5% | 0.30 |
| TQQQ(3x) | 1990-2026 | 0.829 | 0.729 | 88% | 18.7% | 0.26 |
③-2 DCA-IRR分布:一括投資バックテストは嘘をつく
「いつ始めても」勝てるかを、開始月をずらした全ウィンドウでの実測IRR(内部収益率、XIRR)分布で検証。QQQ積立と同じ開始月で比較した場合に レバレッジ/集中投資側が負ける確率 P(vehicle<QQQ) を年限別に算出。
| 対QQQ比較 | 年限 | P(IRRが QQQ未満) | n |
|---|---|---|---|
| レバナス2x | 5年 | 22.7% | 269 |
| レバナス2x | 10年 | 15.8% | 209 |
| レバナス2x | 15年 | 0.0% | 149 |
| レバナス2x | 20年 | 0.0% | 89 |
| TQQQ 3x | 5年 | 26.0% | 269 |
| TQQQ 3x | 10年 | 20.1% | 209 |
| TQQQ 3x | 15年 | 0.0% | 149 |
| TQQQ 3x | 20年 | 0.0% | 89 |
| FANG+ | 5年 | 0.0% | 111 |
| FANG+ | 10年 | 0.0% | 51 |
| S&P500 | 5年 | 85.1% | 269 |
| S&P500 | 10-20年 | 100% | 209-89 |
data/metrics/dca_irr_dispersion.csvに格納。5年ウィンドウのTQQQ最悪IRRは年率-94.8%(ほぼ全損)、対してQQQの5年最悪IRRは-14.3%にとどまる。
③-3 レバレッジのコスト構造:ボラティリティか、金利か
「レバレッジ商品は横ばい相場でジリ貧になる(ボラティリティドラッグ)」という説明が一般的だが、実測では金利水準の寄与の方が大きい局面がある。以下はNDX×レバレッジ倍率の理論値に対する実際のレバレッジ系列の年率残差(マイナス=理論値に届かない=コスト)。
| 金利水準 | 金利トレンド | レバナス2x 残差(対2xNDX) | TQQQ3x 残差(対3xNDX) |
|---|---|---|---|
| 低金利(≤2%) | 上昇中 | -4.4%/年 | -11.8%/年 |
| 低金利(≤2%) | 低下中 | -10.6%/年 | -29.2%/年 |
| 高金利(>2%) | 上昇中 | -13.9%/年 | -31.2%/年 |
| 高金利(>2%) | 低下中 | -17.4%/年 | -46.2%/年 |
④ 相場レジーム別の比較:「全体がどんな時にどちらが有利か」
④-1 4状態トレンドレジーム(NDXの200日線・その傾きで分類)
A=200MA上・上昇中(順張り継続) / B=200MA上・下降開始(天井圏) / C=200MA下・下降中(下落トレンド) / D=200MA下・上昇開始(回復初動)。各状態の日数を再現できたと仮定した場合の年率換算リターン。
| 状態 | 出現比率 | S&P500 | NASDAQ100 | FANG+ | レバナス2x | TQQQ3x |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A. 上昇トレンド継続 | 66.9% | 20.9% | 28.7% | 53.5% | 54.5% | 79.4% |
| B. 天井圏(上昇失速) | 4.5% | 89.9% | 155.0% | 320% | 495% | 1250% |
| C. 下降トレンド | 18.2% | -15.0% | -28.1% | 2.9% | -58.9% | -80.1% |
| D. 回復初動 | 7.3% | -49.0% | -62.4% | -58.4% | -87.9% | -96.6% |
④-2 実現ボラティリティ・tercile別(NDX20日ボラ、直近5年分位、先読みなし)
| ボラ水準 | S&P500 | NASDAQ100 | FANG+ | レバナス2x | TQQQ3x | 2x残差 | 3x残差 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 低ボラ(下位33%) | 16.2% | 23.3% | 50.8% | 44.2% | 67.6% | -2.4% | -2.4% |
| 中ボラ | 14.6% | 18.8% | 64.0% | 32.5% | 44.2% | -5.1% | -12.2% |
| 高ボラ(上位33%) | 0.6% | 1.3% | 5.8% | -10.6% | -28.6% | -13.2% | -32.6% |
④-3 VIXタームストラクチャー(バックワーデーション)後のフォワードリターン
| レジーム | NASDAQ100 1m/3m/6m/12m | レバナス2x 1m/3m/6m/12m | TQQQ3x 1m/3m/6m/12m |
|---|---|---|---|
| バックワーデーション中 | 2.6% / 6.9% / 13.6% / 22.3% | 4.5% / 12.7% / 25.9% / 44.1% | 6.2% / 18.4% / 38.8% / 67.5% |
| 平常時(コンタンゴ) | 1.0% / 3.0% / 6.1% / 12.6% | 1.5% / 4.9% / 10.3% / 22.1% | 2.1% / 7.0% / 15.0% / 32.1% |
regime_vix_termstructure.csv のn=554件で確認可能)。この非対称性が、⑤で検証する「VIXスパイク時に温存資金を投入する」戦略の理論的根拠になる。
⑤ 積立戦略バックテスト(1999-2026、月次1単位の定額積立)
単純な「毎月100%を1つの商品に積立てる」ベンチマークと、ルールベースでレバレッジ配分先を切り替える戦略を比較。全戦略は総投資額を同一(毎月定額)に揃えている。
| 戦略 | 最終評価額(積立1単位あたり) | XIRR | DCA Ulcer | Martin |
|---|---|---|---|---|
| ベンチ: QQQ 100%積立 | 3,878 | 15.1% | 0.108 | 1.39 |
| ベンチ: レバナス2x 100%積立 | 14,740 | 22.3% | 0.278 | 0.80 |
| ベンチ: TQQQ3x 100%積立 | 31,018 | 26.4% | 0.396 | 0.67 |
| 戦略3.3: 200MA順張り2xゲート | 11,146 | 20.8% | 0.208 | 1.00 |
| 戦略3.8: 4状態ヒステリシス切替(A→2x, D→3x, B/C→QQQ) | 10,892 | 20.7% | 0.181 | 1.14 |
| 戦略3.4: VIXバックワーデーション待機資金→TQQQ | 8,858 | 19.6% | 0.168 | 1.17 |
| 戦略3.5: ドローダウン増額積立→TQQQ | 3,890 | 15.1% | 0.111 | 1.36 |
| 戦略 | 2010-2019 XIRR | 2010-2019 Martin | 2020-2026 XIRR | 2020-2026 Martin |
|---|---|---|---|---|
| QQQ 100% | 18.4% | 7.15 | 20.4% | 6.35 |
| レバナス2x 100% | 33.7% | 5.08 | 31.1% | 2.20 |
| TQQQ3x 100% | 48.1% | 4.27 | 37.4% | 1.51 |
| 3.8 ヒステリシス切替 | 36.2% | 4.83 | 29.1% | 1.85 |
| 3.4 VIX待機資金 | 26.2% | 4.76 | 21.4% | 3.87 |
| 3.5 DD増額 | 18.3% | 7.16 | 21.7% | 5.77 |
⑥ 結論:数字が示す使い分け
- 絶対リターンだけを最大化したいなら、実測データ上はTQQQ100%積立が最も高いXIRR(26.4%、1999-2026)を叩き出す。ただしDCA口座のUlcer Indexは0.40と全銘柄中最悪で、5年積立で始めた場合の最悪期年率IRRは-94.8%まで沈む。
- リスク調整後リターン(Martin比)を最大化したいなら、無レバレッジのFANG+集中投資(8銘柄等加重、Martin 3.18)かNASDAQ100の単純積立(DCA Martin 1.39)が、検証した全てのレバレッジ商品・戦略を上回る。「集中投資で高ベータを取り、レバレッジのコスト構造(調達金利・日次リセットの複利ドラッグ)を回避する」方が、数字の上では合理的。
- それでもレバレッジを使うなら、単純な100%固定保有より、200MA・VIXタームストラクチャーに基づくルールベースの配分切替の方がMartin比で優位(1.14〜1.17 vs 0.67〜0.80)。ただし絶対リターンは犠牲になる。この優位性は主に2020年以降の高金利・高ボラ局面で発生しており、2010年代のような低金利順張り相場では単純保有の方が総合的に強い。
- 相場の状態で使い分けるなら、実現ボラティリティが直近5年分位で上位33%に入っている間はレバレッジの理論値からの下振れ(残差)が最大(TQQQで年率-32.6%)なので、その局面での新規レバレッジ買い増しは避ける。逆にVIXタームストラクチャーがバックワーデーションに転じた直後は、平常時の2〜3倍のフォワードリターンが観測されており、そこでの一時的な買い増しには実測データの裏付けがある。
- 「押し目・回復初動を狙う」という直感には要注意。200MA割れから傾きが上向きに転じた直後(D状態)は、レバレッジ・無レバレッジ問わず全銘柄で年率換算リターンが大幅マイナスだった。ダマシの戻りを本格反発と誤認するリスクが高いフェーズであることがデータから読み取れる。
⑦ 金利ゲート戦略:金利は「予測」ではなく「観測」できる
③-3で見た「レバレッジのコストは金利水準の寄与が大きい」という発見を、そのままルール化して検証した。ルールは価格の方向を予測しない — 3ヶ月T-Bill金利が2%以下(過去の中央値的な「安い」帯)なら新規積立をレバレッジへ、2%超なら無レバレッジへ、という金利水準だけを見る機械的な配分。金利は市場が毎日公表する既知の数字であり、200MAの傾きのように解釈の余地があるものではない。
| 戦略 | XIRR | DCA Ulcer | Martin |
|---|---|---|---|
| レバナス2x 常時100% | 22.3% | 0.278 | 0.80 |
| 金利ゲート2x | 21.4% | 0.171 | 1.25 |
| TQQQ3x 常時100% | 26.4% | 0.396 | 0.67 |
| 金利ゲート3x | 25.7% | 0.243 | 1.06 |
| 金利ゲート2x(高金利時は50%だけ縮小) | 21.9% | 0.217 | 1.01 |
⑧ 追加検証:Fableフレームワークの多角的切り口を深掘り
初回のFableブレインストーミングで提案された切り口のうち、まだ検証していなかったものを追加実装した。結果はきれいに一方向へ揃わない — 通説を裏付けるもの、通説を覆すもの、当初の仮説自体を否定するものが混在する。それも含めて全部載せる。
⑧-1 コストベース回収 vs 価格回収:積立投資家の「本当の痛みの長さ」
NDXが高値から-15%以上下落した局面ごとに、(a)価格が高値を再奪回するまでの日数と、(b)その時点まで積立を続けてきた投資家の口座評価額が累計拠出額を上回るまでの日数、を比較した。
| 下落の谷 | 谷での下落率 | 価格の高値奪回 | NASDAQ100積立回収 | レバナス2x積立回収 | TQQQ3x積立回収 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2000-01-06 | -20% | 13日 | 25日 | 25日 | 25日 |
| 2002-10-09 | -80% | 4,517日 | 814日 | 52日 | 1,817日 |
| 2014-10-16 | -20% | 127日 | 15日 | 15日 | 15日 |
| 2016-02-09 | -20% | 169日 | 20日 | 20日 | 20日 |
| 2018-12-24 | -20% | 109日 | 7日 | 7日 | 7日 |
| 2020-03-16 | -30% | 79日 | 15日 | 15日 | 15日 |
| 2022-11-03 | -40% | 405日 | 27日 | 27日 | 27日 |
⑧-2 シーケンスリスクの非対称性:同じ相場でも積立の「順番」次第で結果が変わる
各銘柄の月次リターン列から10年ウィンドウを切り出し、実際の順序で積立した場合の最終評価額と、その順序を逆転させた場合の最終評価額を比較。
| 銘柄 | ウィンドウ数 | log(実際/逆順)平均 | 実際が逆順に勝った割合 | 最大DD時期と最終評価額の順位相関 |
|---|---|---|---|---|
| NASDAQ100 | 208 | +0.205 | 74.5% | +0.354 |
| レバナス2x | 318 | -0.187 | 48.1% | -0.142 |
| TQQQ3x | 318 | -0.401 | 43.7% | -0.211 |
⑧-3 日次リセットは月次リターンの歪度をどう変えるか
| 銘柄 | 複利ウェッジ平均(月次) | ウェッジと月内実現分散の回帰係数 | 実際の月次歪度 | ナイーブ(index×L倍)の歪度 |
|---|---|---|---|---|
| レバナス2x | -0.42% | -0.59 | -0.19 | -0.38 |
| TQQQ3x | -0.88% | -1.50 | 0.00 | -0.38 |
⑧-4 FANG+の四半期リバランスは本当にアルファを生むか?
⑧-5 ブレイクイーブンボラティリティの占有率:レバレッジが理論上「損」になる日はどれだけあったか
σ*(このボラを超えるとL倍の複利効果が理論上プラスからマイナスへ転じる境界値、当該時点の直近3年インデックス期待リターンと3ヶ月金利から算出)に対して、実現60日ボラが上回っていた日数の割合。
| 銘柄 | 全期間での占有率 | 1990s | 2000s | 2010s | 2020s | 現在の状態 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| レバナス2x | 25.9% | 0.0% | 51.7% | 8.0% | 17.0% | σ*=0.363, 実現60日ボラ=0.247 → ブレイクイーブン未満(理論上は複利がまだ有利) |
| TQQQ3x | 31.1% | 0.0% | 58.1% | 10.6% | 25.1% | σ*=0.314, 実現60日ボラ=0.247 → ブレイクイーブン未満 |
⑧-6 ターニングポイント検出のフロンティア:ノイズ除去と反発の取りこぼしはトレードオフ
| フィルター | 年間ダマシ回数 | サイクル数 | 平均取りこぼし反発 | 中央値取りこぼし反発 |
|---|---|---|---|---|
| 50日線(即時) | 7.91回/年 | 215 | 4.4% | 2.7% |
| 100日線(即時) | 5.79回/年 | 158 | 5.2% | 3.0% |
| 150日線(即時) | 4.03回/年 | 110 | 5.9% | 3.1% |
| 200日線(即時) | 3.41回/年 | 93 | 6.0% | 3.0% |
| 50日線(5日連続確認) | 4.47回/年 | 121 | 7.7% | 6.2% |
| 200日線(5日連続確認) | 1.61回/年 | 44 | 11.4% | 7.8% |
⑧-7 ドラッグバロメーター配分・ボラターゲット配分・利益ラチェット
| 戦略 | XIRR | DCA Ulcer | Martin |
|---|---|---|---|
| ドラッグバロメーター配分(→2x) | 19.2% | 0.148 | 1.29 |
| 固定50/50(QQQ/2x) | 19.9% | 0.196 | 1.01 |
| ボラターゲット25%(→3x) | 25.7% | 0.340 | 0.76 |
| 利益ラチェット(課税なし) | 15.9% | 0.209 | 0.76 |
| 利益ラチェット(20%課税) | 15.3% | 0.206 | 0.74 |
⑧-8 FANG+はレバナスの「コストのかからない代替」になり得るか
レバナス2x(実効ベータ≈2.0)に対して、FANG+とS&P500をブレンドし同じベータに近づけた無レバレッジ・ポートフォリオを構築して比較。ただし実測ではFANG+単体の対NDXベータは平均1.21、S&P500は0.73にとどまり、両者をどうブレンドしても理論上のベータ2.0には届かなかった(最大到達点は100% FANG+でベータ約1.21)。つまり以下の比較は「同じリスク量」ではなく「FANG+が到達できる最大限の集中度」対「レバナス2x」の比較になる。
| ポートフォリオ | 期間 | XIRR | DCA Ulcer | Martin | 2022年(利上げ・調整局面)の騰落 |
|---|---|---|---|---|---|
| FANG+/SP500ブレンド(≈FANG+100%) | 2012-2026 | 36.3% | 0.105 | 3.46 | -36.0% |
| レバナス2x 100% | 2012-2026 | 56.0% | 0.170 | 3.30 | -52.2% |
⑨ 矛盾する結論の整理と優先順位
ここまでの検証は一枚岩の結論にならない。同じデータから読み取れる複数の根拠が、時に逆方向の行動を示唆する。すべて並べたうえで、どちらを優先すべきかに明確な立場を取る。
優先: 根拠B(リスク調整後)
理由: バックテストのXIRRは「その期間、一度も売らずに耐え切った場合」の数字であり、-90%超の含み損局面で機械的に積立を継続できる投資家は現実には少数派。20年という長期では「理論上の最終リターン」より「実際に完走できる設計」の方が期待値に効く。根拠Aの「20年ならほぼ確実に勝つ」は事実として重く受け止めるが、根拠Bの示唆(絶対100%張らない)と両立させるなら、コア資産は根拠Bに従い、レバレッジは限定的なサテライトに留めるのが妥当。
優先: 根拠B寄り、ただし文脈依存
理由: 両者は矛盾ではなく定義の射程が違う。根拠Aの「5-10%の押し目」はまだ上昇トレンド内の浅い調整を指し、根拠Bの「回復初動」は本格的な下落トレンドの後、まだ200MAを回復していない段階での戻りを指す。実務的には「トレンド継続中の軽い押し目は買い場」「トレンド崩壊後のダマシの戻りは買い場ではない」という使い分けが必要で、これを取り違えると根拠Aのつもりで根拠Bの罠を踏む。判断に迷う局面(今回のような-6.7%程度の押し目で、200MAはまだ上)では根拠Aを、明確に200MA割れからの戻りでは根拠Bを適用する。
優先: 根拠B(短期窓・保守的シグナル)
理由: 60日窓は直近の急変動を均してしまい反応が遅い。20日窓は直近のボラ上昇を素早く捉える。レバレッジは下振れが非対称に重い(コンベクシティが負に効く)ため、シグナルが割れた場合は「見送っても損失は機会損失止まり」「踏み込んで外すと元本毀損」という非対称性から、より慎重な方のシグナルを優先するのが期待値的に合理的。
優先: 根拠B寄りだが、根拠Aを無視しない設計
理由: 20年という長さそのものが、金利ゲート戦略の「待つコスト」を相対的に下げる(60%の月は結局レバレッジ側に切り替わってきた実績がある)。ただし「必ず低金利に戻る」という保証はどこにもなく、構造的インフレ・財政赤字拡大など2020年代特有の要因で高金利が長期化するリスクはFable・Sonnetいずれの分析でも検証していない未知数。従って結論は「今すぐ全額レバレッジに張る根拠は薄いが、コア(QQQ/FANG+)を積立てながら金利低下を機械的に待つルールを仕込んでおく」という設計が最も合理的。
優先: 根拠B(根拠Aのサンプルの偏りを補正する)
理由: 根拠Aの「20年ならゼロ敗」は事実だが、そのウィンドウ群は1999-2026という限られた1本の歴史からの重複サンプリングであり、独立した20年間が何十本もあるわけではない(実質的な自由度は数本程度)。根拠Bはその同じ歴史の中でも「順序」を人為的に変えることで、レバレッジが本質的に終盤の暴落に脆弱な構造を持つことを直接示している。将来の20年がたまたま「都合の良い順序」になる保証はなく、根拠Bの構造的な脆弱性を軽視すべきではない。
優先: 根拠B
理由: 今回検証した8種類のタイミング・配分戦略はどれ一つとして、無レバレッジQQQ100%積立のリスク調整後リターンを上回れなかった。「レバレッジ商品をいかに賢く運用するか」に費やす分析コストは、「そもそも何に投資するか(集中×無レバレッジという選択肢を含む)」を見直す分析コストに比べて費用対効果が低い、というのがこの検証全体で最も一貫した結論。
⑩ 最終結論:20年積立への示唆(優先順位を反映)
- 最優先: コアは無レバレッジ、かつ集中度の高い商品にする。Martin比で一貫して最上位なのはFANG+的な集中×無レバレッジ(3.18〜3.46)であり、これはリバランス手法(⑧-4で否定済み)ではなく銘柄選定そのものに起因する。QQQ単体(Martin 1.39)でも、検証した全てのレバレッジ戦略(最高でも1.29)を上回る。20年という長さでは、この土台の差が複利で効いてくる。
- 次点: レバレッジは「常時100%」ではなく「条件付きサテライト」として使う。金利≤2%かつ60日実現ボラがσ*未満、という2条件が両方揃った時だけ新規拠出の一部をレバレッジへ回すルール(⑦・⑧-5・⑧-7の統合)は、単純な常時保有よりMartin比が明確に改善する。ただし絶対リターンは犠牲になるため、”取り逃がした上振れ”を許容できる設計思想が前提。
- 2026年7月時点の判定: 金利3.71%(高い帯)・20日ボラ上位24%(やや高い)という二重のシグナルから、現時点でレバレッジサテライトを新規に積み増す条件は揃っていない。コア(QQQ/FANG+)への積立を継続しながら、金利低下とボラ低下の両方を機械的に監視するのが整合的な行動。
- 「回復初動を先回りする」「利益を機械的にラチェットする」は、いずれも実測データで否定された。前者は200MA割れからの戻りが総じて年率マイナス、後者は含み益の半分利確が伸びを取り逃がしMartin比を悪化させた。この2つの”賢そうに見える”戦術は避ける。
- 最大の未知数は「今後20年の金利レジーム」であり、これはどちらの根拠(モデル)でも解決できない。過去36年の60%は低金利だったが、今後20年がどちらに寄るかは本レポートの範囲外。だからこそ、金利水準を毎月機械的に確認して配分を調整するルール(方向を予測しない設計)が、方向を当てにいく戦略より頑健だと判断した。
⑫ 損切りルールの検証:「買ったら売らない」で本当に良いのか
⑨論点1・論点6で「新規拠出の条件分けは効くが、既存保有分を売る利益確定ルールは失敗した」ことを見た。ただしそこで試した「売り」は含み益の利確(利益ラチェット)のみで、下落トレンド入りでの損切りは未検証だった。TQQQを一度も売らずに持ち続けた場合の絶対リターンの強さ(XIRR 26.4%、全戦略中最高)には確かに魅力があるため、ここでは新規拠出の条件分けに加えて、既存の保有分そのものを売るルールを4種類追加検証する。
| 戦略 | XIRR | DCA Ulcer | Martin |
|---|---|---|---|
| TQQQ買い切り・永久保有(売らない) | 26.4% | 0.396 | 0.67 |
| ゲートのみ(拠出先だけ切替・既存は保持) | 24.0% | 0.241 | 1.00 |
| 200MA損切り(全額売却) | 15.2% | 0.111 | 1.37 |
| 200MA損切り(全額売却・20%課税) | 15.1% | 0.111 | 1.35 |
| 200MA損切り(半額のみ売却) | 15.2% | 0.114 | 1.34 |
| トレーリングストップ25%(遅い再エントリー) | 15.3% | 0.109 | 1.40 |
| トレーリングストップ25%(速い再エントリー) | 15.2% | 0.109 | 1.40 |
| トレーリングストップ35%(速い再エントリー) | 15.2% | 0.111 | 1.37 |
| トレーリングストップ25%(速い再エントリー・20%課税) | 15.1% | 0.109 | 1.39 |
⑫-1 過去3回の暴落開始タイミングで見る損切りの当たり外れ
「積立を始めた直後に暴落が来た」という最悪ケースを3パターン(2000年ITバブル最高値圏、2007年GFC直前、2021年ピーク圏)で再現し、そこから5年間のフレッシュな積立のXIRRを比較。
| 開始月 | 永久保有 | ゲートのみ | 200MA損切り | トレーリング25%(速) |
|---|---|---|---|---|
| 2000-01(ITバブル最高値圏) | -0.8% | +2.6% | +1.2% | +1.4% |
| 2007-06(GFC直前) | +26.4% | +18.5% | +12.8% | +15.1% |
| 2021-06(直近ピーク圏、2022年急落を含む) | +51.7% | +41.2% | +25.6% | +24.1% |
全期間を通したMartin比では損切り系ルールが優勢(1.34〜1.40 vs 永久保有0.67)だが、これは主に2000年のような「戻りが遅い暴落」を含む期間の下振れを抑えた効果であり、個々の暴落局面だけを見ると3回中2回(2007年・2021年)は永久保有の方が明確に勝っている。ここは⑨で扱った他の論点と違って、優先度をどちらか一方に決め切らないのが誠実な結論: 「暴落の戻りが歴史的に稀な速さで来る」というここ十数年のパターンが今後も続くと信じるなら永久保有が合理的だが、「次の暴落がITバブル型の長期停滞になるリスク」を無視できないと考えるなら損切りルールが合理的な保険料になる。これは相場観そのものへの賭けであり、過去データだけでは決着がつかない、数少ない論点の一つとして扱う。
⑬ 残投資可能年数とグライドパス:いつ・どう安全資産に寄せるか
これまでの分析はすべて「積立を続ける」ことだけを前提にしていたが、30歳から60歳までの30年という具体的な残投資可能年数を仮定すると、新しい問いが立つ。「終盤に暴落が来たら最終成績が大きく落ちる」というシーケンスリスクは、残り年数が少なくなるほど致命傷になりやすいはずで、それをどう手当てするか(商品を乗り換えるか、同じ商品のまま現金比率を上げるか)を検証した。
⑬-1 手法:ブロック・ブートストラップで30年パスを1,000本生成
1990-2026年の実際の月次リターン(NDX・レバナス2x・TQQQ3x・S&P500・現金相当の3ヶ月金利)から、1年単位のブロックをランダムに並べ替えて30年(360ヶ月)分のパスを1,000本合成した。これは「未知の新しい経済シナリオ」を作るものではなく、過去に実際に起きた年次リターンの分布を固定したまま、”起きる順番”だけを大量に変えたらどうなるかを試す手法で、⑧-2のシーケンスリスク分析を30年という具体的な期間に拡張したもの。プールは328ヶ月(約27年)分しかなく、真に独立した経済レジームのサンプルではない点は留意。
| 戦略 | 中央値 | P5(下位5%) | P95(上位5%) | 最悪ケース |
|---|---|---|---|---|
| S&P500 常時100% | 1,435 | 511 | 4,474 | 139 |
| NASDAQ100 常時100% | 1,963 | 341 | 12,415 | 40 |
| レバナス2x 常時100% | 1,976 | 74 | 92,800 | 7 |
| TQQQ3x 常時100% | 1,027 | 22 | 287,630 | 2 |
⑬-2 「商品を乗り換える」vs「同じ商品のまま現金比率を上げる」
レバナス2xを軸に、退職(積立終了)前10年間・5年間で(a)残高そのものをS&P500へ段階的に乗り換えるグライドパス、(b)商品はレバナス2xのまま現金比率を0%→50%へ段階的に引き上げるグライドパス、を比較。
| 戦略 | 中央値 | P5 | 最悪ケース | 直近5年のUlcer平均 | 暴落タイミングと最終評価額の相関 |
|---|---|---|---|---|---|
| レバナス2x 常時100%(乗り換えなし) | 1,976 | 74 | 7 | 0.322 | -0.037 |
| 商品乗り換え型(10年、→S&P500) | 2,047 | 197 | 50 | 0.172 | +0.019 |
| 現金比率上昇型(10年、→現金50%) | 1,942 | 155 | 22 | 0.225 | -0.013 |
| 商品乗り換え型(5年、→S&P500) | 2,055 | 137 | 33 | 0.242 | -0.020 |
| 現金比率上昇型(5年、→現金50%) | 1,948 | 118 | 18 | 0.269 | -0.029 |
さらに興味深いのは、商品乗り換え型(10年)の中央値(2,047)が、乗り換えない常時保有(1,976)よりわずかに高い点。安全性を買うための犠牲ではなく、”終盤の複利減衰が重い時期をS&P500の効率的な複利に置き換える”ことで、中央値までもがわずかに改善するという、ほぼ無料に近いリスク低減策になっていた。
グライド期間の長さも効く:10年グライドは5年グライドよりP5・最悪ケースともに明確に優れる(乗り換え型でP5=197 vs 137)。急に安全資産へ寄せるより、時間をかけて寄せる方が良い、という⑧-6のフロンティア分析と同じ構造。
暴落タイミングと最終評価額の相関は、常時保有では明確にマイナス(-0.037、終盤の暴落ほど成績が悪化)だが、10年商品乗り換え型ではほぼゼロ〜わずかにプラス(+0.019)に変化——グライドパスが「終盤の暴落が致命傷になる」という構造的な弱点を実際に打ち消していることが数値で確認できた。
⑬-3 平均値だけでは見えないもの:中央値・最悪/最高シナリオのファンチャート
これまでの表は平均や中央値の一点だけを示してきたが、実際の分布の広がりを見ないと「最悪ケースでどこまで沈むか」「上振れがどれだけ非対称に効くか」が伝わらない。NASDAQ100・S&P500は⑬-1と同じ30年ブートストラップ(1990年以降のデータ、それぞれ約27年・33年分のプールから1年ブロックを再抽出)から、各月時点での中央値・25-75%帯(濃い帯)・5-95%帯(薄い帯)を積み上げたファンチャートを描いた。FANG+は2012年以降の実データしかなく、ブートストラップで30年へ延長すると(実際に試したところ)30年後の中央値が拠出額の100万倍を超えるという非現実的な数字になったため、ここでは延長・予測をせず、実際に存在する14年分のデータをそのまま1本の線として重ねている。横軸は積立年数、縦軸は積立1単位あたりの評価額(対数軸)。
一方でNASDAQ100とS&P500のファンチャートを比べると、両者の中央値の差は30年間を通じてそこまで大きくない(30年後の中央値はNASDAQ100が2,271、S&P500が2,486でむしろS&P500がわずかに上)が、上振れ(P95)の広がり方は明確に異なる(30年後のP95はNASDAQ100が13,034、S&P500が7,258)——NASDAQ100は中央値でS&P500に劣るとまでは言えないが、上振れの裾が長く、稀に大きく勝つ代わりに下振れの帯(P5)もS&P500より低い(382 vs 815)。「平均を追うと分散の大きい方が魅力的に見えるが、中央値・下位パーセンタイルまで見ると印象が変わる」という、この質問そのものが提起した観点が、まさにこのグラフに現れている。
⑬-3 実データでの検証:FANG+と2022年ショック(2012-2026、実際に暴落を内包する唯一の実系列)
FANG+合成指数は2012年からの実データしかなく、ブートストラップに使うには短すぎる(周期の使い回しが激しくなる)。そこで実際に起きた2021年11月-2022年12月の下落(FANG+高値から-44.5%)を、乗り換え型・現金比率上昇型のグライドパスがどれだけ和らげられたかを実データで直接検証した。
| 戦略 | この局面での下落率 | 30年終了時の最終評価額(参考) |
|---|---|---|
| FANG+ 常時100%(乗り換えなし) | -44.5% | 3,079 |
| 商品乗り換え型(10年、→S&P500) | -27.3% | 1,731 |
| 現金比率上昇型(10年、→現金50%) | -32.1% | 1,819 |
| 商品乗り換え型(5年) | -40.0% | 2,518 |
| 現金比率上昇型(5年) | -41.1% | 2,435 |
今(30歳、残り30年)の時点では、FANG+・NASDAQ100中心の積立を継続する判断は、本レポート全体の結論(⑨⑩)と整合的で変える必要はない——残り年数が長いうちはシーケンスリスクの影響を受ける「終盤」がまだ遠く、⑬-1の1,000本ブートストラップでも、残り30年フルで走らせた場合のS&P500以外の商品はテールリスクこそあるものの中央値・上位パフォーマンスでは優位を保つ。
ただし、退職(積立終了)の10年前あたりからは、機械的なグライドパスを仕込んでおくことを推奨する。具体的には(1)現金比率を上げるのではなく商品そのものをS&P500(またはNASDAQ100)へ段階的に乗り換える、(2)5年ではなく10年かけてゆっくり移行する、の2点がブートストラップ・実データの両方で一貫して優位だった。30歳から数えると、これは概ね50歳前後から着手する話であり、今すぐ判断する必要はないが、30年という積立期間の”設計図”にあらかじめ組み込んでおく価値のある知見。
唯一の留保: グライドパスは「守った分だけ、その後の急回復の恩恵を取り逃がす」という代償を必ず伴う。過去十数年は暴落後の急回復が異常に強かった(2009年・2020年・2022年いずれも)ため、この代償は事後的には「余計だった」と見える年の方が多かった。それでも下位5%・最悪ケースでの被害が桁違いに縮む(⑬-1)ことを考えると、「保険料を払い続けても文句を言わない」設計として、10年前からの商品乗り換え型グライドパスを本レポートの推奨とする。
⑪ 限界・注意点
- FANG+は公式指数ではなく8銘柄等加重の近似合成。2012年以前のデータは存在しない(TSLA上場が制約)。
- 2006年(QLD)・2010年(TQQQ)以前のレバレッジ系列は合成値。QLD/TQQQとの重複期間での日次リターン相関は0.9958/0.9986で高精度だが、完全な実データではない。
- 日本の実在レバナスファンドは信託報酬・スワップコストの実額がQLDと厳密には一致しない(ここでは近似として使用)。
- レジーム別「年率換算」は、非連続な短期間(中央値6〜7営業日)の日次リターンを連続保有したと仮定して換算した値であり、実際にその年率を1年間持続できることを意味しない。特にB状態(天井圏)の数字は解釈に注意。
- 本レポートの数字はNISA非課税枠を前提にしておらず、日本居住者が課税口座で乗り換え(売却)を伴う戦略を実行する場合は譲渡益への約20%課税を考慮する必要がある(戦略3.3/3.8はスイッチングを伴うため、税引き後リターンはここに示した数値より低くなる)。
- 過去データへのバックテストであり、将来の金利・ボラティリティレジームが2010年代型・2020年代型のどちらに近づくかは予測していない。
- ⑧-1のコストベース回収期間は、1990年から積立を続けてきた投資家という前提の系列に基づく。これから積立を始める投資家が序盤で暴落に遭遇した場合の回収期間は、この数字より長くなり得る(TQQQの1,817日=約5年が、その場合の実態に近い目安)。
- ⑧-8のFANG+/S&P500ブレンドは、レバナス2xの実効ベータ(≈2.0)に到達できず(最大到達点は約1.21)、完全に同一のリスク量での比較ではない。
- ⑨の優先順位付けは本レポート作成者(Sonnet)の判断であり、絶対的な正解ではない。特にリスク許容度・投資期間・行動特性(暴落時に売らずにいられるか)によって、根拠Aを優先すべき読者もいる。
- ⑫の暴落開始タイミング別検証はn=3という極めて小さいサンプル(2000年・2007年・2021年)であり、統計的な有意性を主張できるものではない。「損切りが報われたのは戻りの遅い暴落だけ」という傾向自体も、この3例から帰納した仮説にすぎない。
- ⑬のブロック・ブートストラップは1990-2026年という単一の経済史(328ヶ月分)から1年ブロックを再抽出しているため、「順番」の効果は検証できるが、金利体系・技術革新サイクルなど根本的に異なる未来の経済レジームまでは再現できない。あくまで「過去に起きたことがもう一度別の順番で起きたら」という条件付きの検証である。
- ⑬-3のFANG+実データ検証はn=1(2012-2026年の1系列のみ)。2022年ショック後にAIブームという歴史的にも稀な回復が来た結果であり、次の暴落後に同じ規模の回復が来る保証はない。


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